本物の看護がしたいセミナー第16弾
「訪問歯科」の回にご登壇いただきました
雨宮先生(医療法人社団 Emmett Brown 坂本歯科医院)より
訪問看護の方に「これはお願いしたい!」ということ、
そして「訪問歯科へつなげるコツ」をお聞きしました。
1.訪問看護の方に「これはお願いしたい!」ということ
【口腔内の観察とお声掛け】
口腔内の痛みがないか食事は問題なくとれているか
(入れ歯やご自身の歯、口腔粘膜が原因ではないか)は、
お声掛けをお願いできたらと思っております。
また口腔ケアの時は、歯ぐきの出血の有無などの変化が見えやすいと思います。
歯が尖っていることで舌が傷ついていないか、口蓋や頬の粘膜に強い赤みや
潰瘍はないかなど、少し覗き込んで見ていただけたらと思います。
【義歯の扱い方】
夜間は義歯を外して歯や粘膜を休めていただくことが一般的ですが、
残っている歯の状況によっては義歯を外したままにしていると
歯ぐきを傷つけたり、顎の関節が痛くなっしまう場合もあります。
阪神大震災をきっかけに「夜間も義歯を付けておきましょう
(避難時に義歯を家に置いてきて困ったケースが多かった)」という方針も
多く聞かれるようになりました。
その場合には就寝前に改めて義歯の内面をしっかり清潔にした状態で
装着し就寝していただくようお声掛けをお願いいたします。
【口腔体操】
食前食後など日常的に口腔体操(パタカラ体操やあいうべ体操)を実施することが
効果的で、誤嚥性肺炎の予防に寄与します。
会話の機会が減ってくると舌の動きが悪くなり、食事を押しつぶす力も低下します。
舌を大きく前に出したり、くるくる回したり、早口言葉を練習してみたり、
楽しみながら少しずつやってみてください。
【口内炎の対応】
市販薬でもある程度の効果はありますが、症状が続く場合には、
原因が全身的なものからきている可能性もあります。
専門医の診察を受けることが望ましいです。
2.「訪問歯科へつなげるコツ」
まずは「おうちにも歯医者さんが来てくれる、歯医者に通っていたころと同じように
入れ歯の相談をしたり、むし歯の治療(歯が残せる処置かどうかはケースごとに異なります)も
出来るみたいだよ。ベッドでもリビングでも」という感じにご案内いただけたらと思っています。
年齢に関わらず既往歴や加齢によって「単独での通院が困難な場合」は訪問歯科の診療対象となります。
おうちでのケアがうまくいかない場合や毎回ご家族の歯科通院同行が必要な場合など、
ご家族の負担軽減のために訪問歯科をご提案いただくということもおすすめいたします。
使っていた義歯の破損や調整に関しては「前みたいに食べれるようになるか相談してみよう」
「頑張ってみてうまく使えるようになったら食形態を戻していけるかもしれない」とお伝えいただければ
口腔内の状況に併せて今の段階の適切な方法で機能回復を試みます。
ただ義歯は、その後の日常で積極的にご本人様が使おうとしてくださるかどうか、協力状態やご性格で
利用者さまと我々お互いの辛抱強さが必要にはなってきます。
奥歯のかみ合わせがしっかり回復することで、椅子やベッドから立ち上がる時や転びそうになったときに
しっかり力が入ったり姿勢の支えになります。
認知機能にも関係してくるともいわれています。
また緩んでしまった口元の筋肉の動きが少しずつ回復してくることで表情が豊かになるだけでなく、
飲み込みの力の強化にも繋がります。
ただし、「絶対」と「元の通りに」はどうしてもお約束できません。
「現症に対して痛みをとるための処置をすること、歯周病の進行を遅らせるようにすること、
形態修正や機能回復のお手伝い、できるだけ今の生活を長く続けられるよう支援していくこと」と
少し逃げ腰な言葉になってしまい申し訳ないのですが、困っていることやご希望を聞かせていただいて、
しっかりお話しながら進めていくように努めています。
雨宮先生、心強いメッセージをありがとうございました!
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