今回は、呼吸について考えてみましょう。
皆さん、「呼吸は正常だった」と言いきるためにはどうしますか?
呼吸音の聴診、そうですね。
でも、正常と言いきるためには実はこんな確認も必要なのです。
正常とは、
想定され得る異常がいずれも確認されないこと
ということは、
①異常呼吸音の存在が確認されなかった
それだけではなく、
②するべき場所でするべき音がしていた
ということも、しっかり確認しなければ「正常」と言いきれません。
肺の中は、スポンジのようなスカスカの構造物。
あまり遠くまで音を響かせることができません。
だから、それぞれの部屋(左の上葉・下葉/右の上葉・中葉・下葉)で
聴診をしますよね。
また、それぞれのエリアでは聴こえるべき正常呼吸音が違います。
大量の空気が出入りする気管支エリアでは、気管支音(スー ハー 休憩)が、
枝分かれを繰り返し、わずかな空気の出入りしかない肺胞エリアでは
肺胞音(わずかな スー もっとわずかな ハー)が聴こえるはずです。
もし、下葉(肺胞音が聞こえるべきエリア)で
気管支音が聴こえたら・・・
これは「気管支呼吸音化」という異常のサインです。
聴診時には、この異常にも気がつけるよう注意をしましょう。
「気管支呼吸音化」とは
スカスカのスポンジである肺が何らかの原因により音を通しやすい構造物になり、
その結果として、遠く離れたエリアである気管支音が肺胞エリアで聴診される現象。
音を通しやすいもの:水・目が詰まった構造物
⇒肺炎・肺線維症の重篤化・腫瘍などが考えられる。
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